本を読む76
オリエンタリズムには苦笑するが
トマス・ハリス7年ぶりの新作「ハンニバル・ライジング」を読了する。
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ハンニバル・ライジング 上巻 (1) 著者:トマス・ハリス |
ご存知、人食いハンニバル・レクターシリーズ最新作。ハンニバルはいかにしてそのようになったか、というわけです。リトアニアの貴族の息子に生まれたハンニバル。独ソ戦に巻き込まれ、両親も城も失い、ついには対独協力者に妹ミーシャまで奪われてしまう。戦後、パリに住む叔父に引き取られ、やさしい叔母の紫夫人(紫式部のイメージだってさ)の慈愛を受けながら成長するが、彼の中に宿っていた何かが目を覚ます。
この紫夫人の描き方が違うんだよなあ~。終戦直後jにこんな日本人女性、パリにはいないと思うぞ。部屋に伊達政宗の鎧兜とかさ。作りすぎなんだよ、オリエンタリズムを。映画ではこの紫夫人、コン・リーがやるんだってさ。
でも、なんだか全体としてものすごく、薄い感じがするんだよな。
「羊たちの沈黙」の重厚さに比べたらすいすい行ってしまいます。リトアニアの対独協力者たちはずるがしこく、キャラクターが立っていますがね。何だか、映画化を狙って書いた小説のような感じがするのですよ。
トマス・ハリスって作家、これまでに「ブラック・サンデー」(アラブのテロリストがアメリカでテロを仕掛ける話←それだけじゃ、わかんねえよ!)のほかは、「レッド・ドラゴン」、「羊たちの沈黙」「ハンニバル」、そしてこの「ハンニバル・ライジング」しか書いていない。でもこの後、続々、出そうな気がするよ。
でもこのシリーズも、その分、先が見えたな。
☆73点⇔書いたけど、薄いよ。かつてのレベルに達していない。がっかりだ。
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