本を読む79
マイクル・コナリーにはまる⑥
シリーズものはとにかく勢いです。だから、立て続けに行きます。ハリー・ボッシュ刑事シリーズ第6作「エンジェルズ・フライト」。
エンジェルズ・フライト〈上〉 著者:マイクル コナリー |
「エンジェルズ・フライト」とはLAのダウンタウンにあるケーブルカー。ここの頂上駅で黒人の人権派弁護士の射殺死体が見つかる。ロス市警とは長年、対立してきた弁護士だ。警官の犯行を疑うマスコミや反体制勢力。全力で事件解決に当たるロス市警はボッシュに捜査を命じる。
これは傑作だ。今作も、ボッシュは「過去」とは向かい合うことなく、ただ純粋に目の前の事件と対峙する(まあ、カミサンの問題はあるにせよ)。
今作で大きくクローズアップされるのが人種問題だ。前作「トランク・ミュージカル」などでも、断片的には人種問題は出てくるのだが、今度はまさしく対立軸としての黒人人権派弁護士とロス市警が物語に存在する。
しかし、その軸が微妙にずれながら別の重大事件にリンクし、そしてさらに、とんでもない事実に結びついていく。実に巧みなストーリーテリングだ。ここに来て、私はコナリーの小説作法に驚嘆したね。
繰り返し言うが、第1作から読むといいよ。登場人物がかなり、共通しているから。そしてそのうちの何人かは、もう、登場しない。映画におけるスターシステムのように、コナリーは自在に登場人物を動かしている。
読後感は痛快ではない部分もあるが、それもまた、アメリカ的現実なのか。悲しい物語である。
☆85点⇔現在のところシリーズ最高作だと思う
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