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本を読む65

いつ「犯罪者」になるかわからない恐怖

 どこか「箍(たが)」が外れてしまっている時代だから、いつ、どこでやってもいない罪を押し付けられ、「犯罪者」扱いされるかわかったものではない。痴漢を巡る冤罪もあるが、普通の教師が、陥れられた地獄を描いたこの「でっちあげ」。2003年に起きた事件の真実に迫るノンフィクションだが、一読、驚愕させられる。

でっちあげ 福岡「殺人教師」事件の真相 Book でっちあげ 福岡「殺人教師」事件の真相

著者:福田 ますみ
販売元:新潮社
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  福岡市の小学校教師が、受け持ちの小4児童に対し「アメリカ人の血が入っているお前は血が穢れている」旨の差別発言をくりかえしたり、さらにはこの児童に体罰を加えて、「自殺しろ」と強要したとされる事件を扱っている。児童はPTSDと診断され、病院に長期入院する。

 しかし、そんな「事実」は一切なかったのだ。児童の両親による「でっちあげ」だったのである。

 朝日新聞地方版がスクープしたこの事件は、週刊文春により全国区のニュースとなり、地元紙、全国紙、民放が追いかけるという構図を取る。

 両親は教諭と福岡市に1300万円の損害賠償を求める民事訴訟を起こす。訴訟の先頭に立った弁護士は全国に呼びかけ、なんと約550人の大弁護団を結成するのだ。しかし、裁判の過程で、保護者の虚言が明らかになっていくのだ。

 よくぞそこまで、マスコミも弁護士も虚言にころりと騙されたものだ。ひとつの虚言が転がり、雪だるまのように大きくなり、1人の教師を社会的に葬る寸前にまで追い込む。これは、何なんだ?

 著者は朝日や西日本新聞、週刊文春の記者に、保護者らの虚言が明らかになった段階で取材。しかし、ほとんどのマスコミは反省の言葉を持たない。このことにも、唖然とさせられるだろう。「記者の良心」とは青臭い言葉かもしれないが、この仕事をしていく上での原点であるのに。

 ☆85点⇔さまざまな問題を提起する、重い一冊

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コメント

アマゾンをチェックしたら、レビューが3件ありました。
どのレビューも、ホントかどうか定かでないことが、報道されることによってあたかも事実のように扱われる怖さについて、述べていたようです。

この事件、週刊誌はもちろんですが、全国紙にも載ってましたよね。テレビは、どうだったのかな。
民放は見てないし、NHKのニュースは、印象に残りようがない。

いずれにしても、裁判になっていたのも知らなかったし、「いじめ」を訴えていた方が、負けたことも知りませんでした。

要するに、「書きっぱなし」なんですよね。
「一方の当事者の言い分だけ」で報道するなら、もう一方の当事者の言い分も、同じ紙面を割かないと、公平ではないでしょう。

まして、当事者でない人が、取材に対して言葉を濁したくなるような事柄を、「事実」として報道した場合、裁判で否定されたなら、報道した者には、名誉回復を図る責任があるのではないかと思います。

「国民の知る権利」って、報道機関はよく言うけれど、ずいぶん都合よく使ってるなぁ、と思わずにいられません。
知らせたいことは大々的に知らせるけど、間違ったことを知らせたとしても、ほとんど口をつぐんでいるか、目立たないようにしてる。

個人が、人との付き合いで、そんなことしたら、誰にも信用されないのにね。

ミスリードはマスコミ報道の宿命だ。マスコミは、自らを正義と思ってるたちの悪い野次馬だよ。

>網さま この事件は多くの教訓を含んでいるわけですが、その危機感をマスコミが共有しない限り、同様のケースが起きうるのです。「名誉回復」は旧ソ連共産党でさえやっていることです。マスコミはとにかく、報道被害に対して誤ることには二の足を踏みがちです。ソ連共産党以下の硬直したシステムなのかもしれません。

>づかこさま でも、マスコミが自らを「正義」と規定するのは当然のことです。誰もが自らを正義と規定しているのです。。問題は「正義」にもいろいろあり、時代状況によって変わってしまうこともあるということなのです。さらに「野次馬」というのも決して全否定されるものではないと思う。

単なる野次馬なら全否定もされないでしょうが、
権力を持っていることに無自覚で、その影響力の大きさに注意を払えず、しかも無責任な「野次馬」は、全否定されても仕方ないのでは。

間違ったことを報道したら、きちんと訂正して、「事実」を知らしめる努力をする。
ただそれだけのことで、個人レベルでは、「うそつき」になりたくなければ、誰でもそうしているはずです。

自らを「正義」と規定し、高い倫理を誇っているはずの集団が、どうしてできないんでしょうね。
大マスコミが、地方の一教師の名誉を、思いっきり毀損しておいて、知らん顔。
その名誉を回復する手段も方法も持ってるのに、何もしないんだから、二重に人権を蹂躙しているようなものです。

こんなことを、放置しておけるような神経の持ち主に、「公平さ」なんて、とても期待できません。
松本サリン事件から、何を学んだのかと。

長くなってごめんなさい。
実は、ものすごく腹が立ってたみたいです…。

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