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本を読む46

暴力について

 「暴力」は現代文学のキーワードのひとつだ。この精神症的な時代においては、とにもかくにも、強烈かつ普遍的なテーマとなりうる。だから、文学のマーケット・リサーチをすればそこに「暴力」という商品が出てくる。

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著者:吉村 萬壱
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 この芥川賞作品もその例外ではない。しかし、「暴力」という代物、どのように取り扱うのか。抑制と発散と、その両者の間で鬱々とせめぎあう魂。非常に、その扱いは困難であると思うぞ。失敗したら、目も当てられないテーマであるはずだ。

 しかし、表題作、一読して不愉快な、どうしようもない小説だ。意図的に、マーケット的に「暴力」を取り上げるとこういうことになるという好例だ。

 高校教師とすりきれたソープ嬢のただれた関係を、「これでもか」というほどの嗜虐的な描写で彫っていく。

 ひとつ、不思議に思うのは、こんな小説を書いていて、作家本人が楽しいのかなあ。賞を狙うならそれはそれでいいけど、違うんじゃないか?

 むしろ併載されている「岬行」という作品のほうが秀逸。車谷長吉風のブレンドさえ漂う、ダメ男小説。意図せぬユーモアが何とも明るい。

☆70点⇔「岬行」に免じての点数だ。でも、小説を信じているというこの作家の態度は好感が持てないこともない

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