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本を読む41

期待している

 日本の作家で、期待度が極めて高いのが垣根涼介だ。「ヒート・アイランド」「ワイルド・ソウル」「ギャングスター・レッスン」と、都会を舞台にしたクールな作品を連発。注目を浴びてきた66年生まれの作家だ。

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著者:垣根 涼介
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 そんな垣根の最新作。南米・コロンビアで両親を右翼ゲリラに惨殺され、辛酸を味わいながらも新興マフィアのトップにまで上り詰めた日系二世リキ・コバヤシが主人公。リキが来日、警察に捕まってしまった部下を救出するまでの数日間を描く。リキに絡んでくるのがコロンビアの浮浪児やコカイン漬けの刑事らだ。「愛は十倍に、憎悪は百倍にして返せ」というコロンビア・アンティオキア州に伝わるという民謡を下敷きにしながら、愛憎劇は続く。

 コロンビアという「神様は、この国があまりに美しいので、地上に無数の悪魔をお放ちになられた」国の惨状は生々しい。リキの幼少時代の回想や浮浪児カーサをめぐるエピソードは、その惨状を反映し、一種のルポルタージュのようにも読める迫力に満ちている。

 しかし、そんな緊張も平成の日本を舞台にしてしまうと、弛緩してしまうのだな、見事に。悪徳刑事もたいしたことないし、これじゃコロンビア・マフィアになめられてしまうよ。舞台をコロンビアに固定したままのほうが、作品としては成功したのではないか。どうも、作り物めいてしまうのだよ、日本とコロンビアのつながりが。

 いずれにせよ、才能豊かな作家。次回作に期待だ

☆78点⇔いいんだよ。悪くはないんだよ。でもね

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コメント

「聞いてないよ~」。編制部が社長賞をとるなんて。

すいません途中で記事を削除しないでくださいな。「聞いてないよ~」が繋がらないではないですか。

すみません。
最近、よくやるんですよ。ブログの空き日を作らないために、まずは短めの文章を書いておいて、時間のあるときにたっぷり書くというやり方です。
以後、コメントとの連続性に気をつけます。 

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