最近のトラックバック

無料ブログはココログ

« 映画評、のようなもの⑦ | トップページ | 昼食問題34 »

本を読む33

シリーズものの難しさ

 一匹狼のキャリア警察官を主人公に据えた大沢在昌の新宿鮫シリーズ。最新刊の「狼花」を読了した。シリーズ9作目だってさ。

狼花  新宿鮫IX Book 狼花 新宿鮫IX

著者:大沢 在昌
販売元:光文社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

 評価は難しい。マンネリという批判も、当然出るだろう。一方で、シリーズならではの登場人物のキャラクター立ちに好感を覚える向きもあるだろう。そこがシリーズものの難しさではある。

 1990年に始まったころの「新宿鮫」、それはインパクトがあった。外国人犯罪や非合法ドラッグなど、当時の先端を行っていた。でも、すでに時代がそれらを追い越してしまった感がある。だから妙な古臭ささえ覚えてしまう。

 登場人物はそれぞれ、魅力的だ。それぞれが十分にキャラ立ちしており、十分に主役級を張れる。リーダービリティーも抜群だ。分厚いページを、次々にめくらせていく、小気味よいストーリー展開は快感だ。これらが作家の成熟というか、熟練ということなんだろう。

 だが、しかし、なあ。「あの新宿鮫の現在がこれかよ!」という食い足りなさだ。正直、物足りない。外国人犯罪を憎むあまりに「一線」を超えようとする高級警察官僚の掲げる正義にも、なんだか興醒めしてしまう。違うんだよなあ、これは、新宿鮫じゃないよ、と言いたくなってしまうのだ。

☆70点⇔時の流れには抗うことができないのか、新宿鮫も 

« 映画評、のようなもの⑦ | トップページ | 昼食問題34 »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 本を読む33:

« 映画評、のようなもの⑦ | トップページ | 昼食問題34 »

2022年3月
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31