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本を読む35

1980年代の空気が充満

 嵐山光三郎の「昭和出版残侠伝」を読む。私が今の会社に入ったころ、昭和でいうと57年前後、西暦1980年代初めのころの雰囲気が伝わってくる1冊だ。

昭和出版残侠伝 Book 昭和出版残侠伝

著者:嵐山 光三郎
販売元:筑摩書房
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 1981年、経営危機に陥った老舗出版社(平凡社のこと)を自主的に退社した主人公バカボン(嵐山)は、同様に退職した同社の常務編集局長と新しい出版社を興す。悪戦苦闘しながらも、ユニークな仲間たちとともに、新雑誌「ドリブ」を軌道に乗せていくまでを、ドタバタ風に描きながら、1980年代という「良き時代」を回顧する出版業界断面史だ。さまざまな業界人が実名で登場する。

 「ドリブ」という雑誌、覚えている人はどのくらいいるだろうか? 私は、創刊号からしばらく、買い続けた記憶がある。「なにかと評判の悪い雑誌です!」というキャッチコピーが新鮮だった。

 特集は「上司のいびり方」とか、「仕事をいかにサボるか」などといった、チョイ悪サラリーマンの進めのようなものが多かったような気がする。当然、セックス関連記事も多かったはずだが、創刊当時はそれを売り物にはしていなかった。いずれにせよ、「成功」とか「出世」とは別の方向性を持った少々、毛色の変わった雑誌だった。当時、編集長だった嵐山は、テレビにも露出。さらに椎名誠らと「昭和軽薄体」なる文体を用いる一派としてマスコミの人気を得ていた。

 この書の時代背景である1980年代半ばは、自らの新入社員時代と重なって、ほろ苦さと甘酸っぱさを伴って回想してしまう。中央の出版業界では当時、新雑誌の創刊ブームで、「ダ・カーポ」や「フォーカス」の二番煎じ的雑誌も生まれていた。「ドリブ」が受けたのもそのような時代背景があったのだろう。狂騒的な祭りの延長のような日々が、活写されている。何とも、うらやましい時代ではある。

 ただ200ページ弱であのころをまとめ上げてしまうには、無理があったようだ。読後、食い足りなさを覚えてしまう。続編を期待するのは無理な話ではあるが、もう少し、きちっとした文体で読みたかった気もする。

☆78点⇔雑誌黄金時代の証言として貴重なのだろう

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