最近のトラックバック

無料ブログはココログ

« ノン・アルコールの日々② | トップページ | ビートルズは何も教えてくれはしない⑦ »

本を読む30

ひきこもり探偵の活躍

 殺人事件を解決するミステリではなく、日常に生じる、なにげない謎を解いていく。ドラマチックではないが、どこか、爽やかな読後感を残す一冊が坂木司「青空の卵」「仔羊の巣」だ。

青空の卵 Book 青空の卵

著者:坂木 司
販売元:東京創元社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

仔羊の巣 Book 仔羊の巣

著者:坂木 司
販売元:東京創元社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

 語り手の「僕」は著者と同名の坂木司。彼には中学時代からの友人、鳥井がいる。鳥井は「ひきこもり」だ。坂木は、鳥井を外界に接触させようと、可能な限りの努力を続けている。就職先も、比較的勤務時間がフレックスな外資系保険会社を選んだくらいである。

 その鳥井の推理力が、人並み外れているのである。

解決するのは事件とも呼べない日常的なことだ。友人の元に送られてくる正体不明の贈り物、職場の同僚の意味不明の行動、子供を置き去りにした父親の行き先・・・。人は死なない、傷つかない。しかし、これもまた、ミステリだ。嫌な言葉だが「癒し系ミステリ」とでもいうのだろうか。

 短編連作だ。「青空ー」には5編、「仔羊ー」には3篇が収録されている。物語が進むにつれ、坂木・鳥井の2人組に絡む人物が増えてきて、新たな世界が構築されていく。そして、頑なだった鳥井も次第に外界との接触を重ねていくようになる。そう、一種の成長小説なのである。

 著者は覆面作家としてデビュー、その招待を明かしてはいないが、想像するに、多分、女性だろう。この作品を通じて流れる、優しい視点は、男性的ではないような気がする。
男性の描き方が美化されていることと、女性の描き方が冷たいことも指摘しておこう。

 個人的には「青空ー」に収録されている「春の子供」に心を奪われた。よくできた物語だ。

☆80点⇔拾い物です。ご一読をお勧めします

« ノン・アルコールの日々② | トップページ | ビートルズは何も教えてくれはしない⑦ »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 本を読む30:

« ノン・アルコールの日々② | トップページ | ビートルズは何も教えてくれはしない⑦ »

2022年3月
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31