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本を読む25

激安な人間たち

 戸梶圭太は、最初はミステリ畑から入ってきた。実際に賞なども獲得しているが、最近は、刹那的な現代若者群像、トカジ的な表現で言えば「激安人間」が引き起こす、愚行の数々をドタバ的に描く一連の作品がヒットしている。

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著者:戸梶 圭太
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 なんというか、すごい小説。戦後間もなく、東北の炭鉱で産み落とされた永吉という主人公を通した「戦後日本史」という定義は可能なのだが、出てくる連中が異常な奴ばかり。笑えるというよりも、初めてトカジの小説を読む人は引いてしまうだろうな。大学紛争やノストラダムスの大予言、バブル崩壊、ホームレス、援助交際などなど、戦後風俗をキーワードにしながら果てしない愚行が繰り広げられていくのだ。

 いわば、「読むマンガ」なんだ。この系統は、かつての、純文学ぶらないころの筒井康隆をもって嚆矢とするというのが私の持論。まあ、それはそれとして、「マンガ」だからあっという間に読める。文庫本で459ページあるが、私は本日の朝8時半過ぎに読み始め、食事を挟み、甲子園の駒苫の試合が始まる11時前には読み終わっていた。

 作品の中で、登場人物は、罵倒のために、「この激安一円野郎!」などというせりふを吐く。せりふを吐く奴もまた激安なのだが。この「激安」という言葉こそが、トカジ作品の鍵。どいつもこいつも、本当にたいしたことのない連中だっ、というニヒリズムが通底している。どうしょうもない人間嫌悪とニヒリズムを、コミカル&スラップスティック的なストーリーで包んでいる。作家としてはそろそろ、次のステップに進むべきだとも思うが。

☆76点⇔暇つぶしにはなるけどね。万人向きじゃない気もする 

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