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本を読む⑰

よろしい。

 後を引きます、伊坂幸太郎。「ラッシュライフ」(新潮文庫 629円)を通読しました。

ラッシュライフ Book ラッシュライフ

著者:伊坂 幸太郎
販売元:新潮社
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 このコラムでも紹介した「重力ピエロ」より以前の2002年の作品。このころの伊坂は、まだ「ミステリ」のカテゴリの作家だという一般的な認識があったようです。
 したがって、この作品はかなり、「謎解き」に重心が置かれているのですが、そこは伊坂幸太郎。一筋縄ではいきません。

 泥棒、父に自殺された青年、Jリーガーと不倫する女性カウンセラー、リストラされた男、拝金主義の画商、仙台駅周辺をさまよう野良犬。さまざまな登場人物がおりなす「事件」が複雑に交錯し、やがてはひとつの場所にぴたりと着地する。

 最大のミステリはバラバラ死体をめぐるもの。あっと驚く仕掛け、というほどのものでもないが、それはそれで読んでのお楽しみだ。

 それよりも、人物造型の確かさや、エッジの立ちつつある文体など、現在の伊坂が開花させつつある才能が、早くもここで萌芽していることに驚く。「重力ピエロ」ほど、肩に力が入っていない分、読後感は爽快だ。安易なハッピーエンド以上のハッピーな結末がうれしいと思う。

☆80点⇔才能だろうな。若さは関係ない

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