最近のトラックバック

無料ブログはココログ

« 物欲の日々② | トップページ | 本を読む⑭ »

本を読む⑬

「春樹」臭くないか

 このブログでも「終末のフール」を絶賛した伊坂幸太郎の「重力ピエロ」が新潮文庫に入ったのを機に読んでみました。エラソーにいうなら、悪くはないと思う。いや、突出している部分もある。でも、少々、気になる点もありました。

重力ピエロ Book 重力ピエロ

著者:伊坂 幸太郎
販売元:新潮社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

 父親が違う兄弟が、仙台市内で連続する放火事件に立ち向かう、というのがベーシックなストーリー。そこに、家族そのもののあり方や遺伝子問題、グラフィックアート(要は街中の落書きだ)などがからみ、大団円を迎える。

 意欲的な作品だと思う。でも、なんというか、作りすぎだ。書き込み過ぎたきらいは否めないのではないか。

 そして、非常に鼻についてしまったのが文体的に「村上春樹を意識しすぎてないか」ということだった。比喩などが「春樹」なんだよなあ。この伊坂世代に、村上春樹は多大な影響を与えているのではないだろうか。深刻なほどに。

 その「春樹」臭さが、「終末のフール」にはあまり感じられなかったから、ひと時の麻疹(はしか)のようなものだったのか?

 この作家、本当にまじめに小説世界と格闘している。つまり、現実と格闘しようとしている。その結果としての作品が、どこまで自らのものとして結実するのかはわからない。でも、私は応援していく。本を購入するという行為によって。もはや、我が感性ではこのタイトルとしての「重力ピエロ」の比喩なんて思いもつかないものな。

☆78点⇔うーん。もうひとつなんだよ。

« 物欲の日々② | トップページ | 本を読む⑭ »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 本を読む⑬:

« 物欲の日々② | トップページ | 本を読む⑭ »

2022年3月
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31