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本を読む⑪

闘わなければならない

そう。その通りなんだ。

神の子どもたちはみな踊る Book 神の子どもたちはみな踊る

著者:村上 春樹
販売元:新潮社
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 村上春樹は闘っていると思う。闘い続けている作家だと思う。闘うという意味は、別に現実の事象にコミットするということだけではない。むしろ、そんなことはどうでもいい。作家のなすべきことは、確立された文体によって構築された文章で自らの世界観を読者の前に示すことだ。それしかない。

 この中には、阪神大震災にインスパイアされた短編が収められている。「アンダーグラウンド」が同じ1995年に起きた「地下鉄サリン」をテーマに選んでいる。1995年を境に村上春樹の中の何かが変わったのだろう。作家として。

 何とも不思議な味わいの小説ばかりで、初めて触れる人にとっては「?」の世界になってしまうかもしれない。しかし、それぞれに通底する、「救いを求めるこころの物語」に、私は強く引かれる。小説のなすべきことは、これではないのか、と思う。

 たとえば、「かえるくん、東京を救う」の読後感はいかがだろうか?

 評価したい。このような作家と、同時代を生きることの意味を見つけたい。闘い続ける作家と同時に、闘い続けなくてはならないと、思う。

☆90点⇔春樹には弱い。龍は駄目だけど。

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コメント

この連作(?)短編集は、春樹作品の中でも、かなり好きなものです。
村上春樹は、長い間、ディスコミュニケーションを書いて、コミュニケーションを表現してきた作家だと思っているのですが、自ら個人に取材した「アンダーグラウンド」によって、彼は、コミュニケーションそのものを書き始めた、変わったんだ、と実感した作品集です。

親方のおかげで、久しぶりに読み返して見ました。(とりあえず「かえるくん」だけ)
すっかり忘れていましたが、この本を読むと、悲しくないのに涙が出ます。
誠実に訴える、ということが、難しいからでしょうか。


>網さんへ
ありがとうございます。
このような誠実なコメントが来ると、ブログにも励みが出ます。
いつの日か、村上春樹論をかましたいと思ってます。

やっと思い出しました。というよりネットで調べて題名がわかりました。「プールサイド」。実は子供に読ませようとずっと探していたのですが僕はずっと題名を「35歳のターニングポイント」だと信じていたので、これでは見つかるはずもありませんね。村上春樹の作品を読んだときどことなく黒岩重吾に通じるも何かがあると感じました。後年、共通項は「肉体のコンプレックス」なのだと確信したしだいです。最近はまったく読んでしないな。

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